ケイオス・バンコク 2

By: Russ Bowling - CC BY 2.0

空港からタクシー乗り場へ出た。タクシー乗り場の空気は空港の空気と全く別物だった。それは海外のタクシー乗り場へボクが抱いている不信感によるところも大きいかもしれない。フィリピン、インドネシア、ベトナム。どの国も熱心にタクシーの呼び込み、そしてその多くは法外な値段を請求してきた。一呼吸するとタイのいやらしい湿度を含んだ空気で肺が満たされた。

タクシー乗り場のシステムが、タイはわかりにくい。そうして普段見慣れない文字が大きく書かれた看板は、その下に申し訳程度に英語がかかれている。しかし読む気は見慣れない文字によってそがれるのだ。看板は諦め、その場でスマートフォンでこちらのタクシーのご作法を検索した。スマートフォンは本当に便利だ。たしか2009年だったと思う。ボクが社会人1年目のころに初めてiPhoneを購入した。大学時代は藤沢市でほとんどの時間を過ごした。たまに相鉄線にのって横浜にいくくらいがせいぜいの遠出だった。おかげで都内の地理には本当に疎かった。そんなボクでもiPhoneのおかげで都内の電車の複雑な路線も迷うことがなく、GPSと地図を駆使して都内でも順調に活動範囲を広げていった。大げさに聞こえるかもしれないがこの時スマートフォンを手にしていなければ、ボクの人生は全くと言っていいほど別のものになっていただろう。ボクは弱い人間だ。

程なくしてタクシーに乗ることができた。「どこからきたの?」肌がすっかり日に焼けたドライバーが尋ねた。そして悪そうな顔をしている。日本だとこたえるとチップを要求してきたり、金銭的トラブルに巻き込まれることを経験を通して知っていたが、なぜかこの時は素直に「生まれは日本だけど普段はフィリピンに住んでる」と答えた。ドライバーは喜々として「空港利用料の50バーツとホテルまでの運行費用。それに高速費用75バーツとチップで合計450バーツ欲しい」と要求してきた。事前にタイオフィスで聞いていたよりも50バーツほど高かったが、数百円程度で面倒な交渉や不愉快な気持ちを避けられるのでボクも快諾した。結局細かいのがなく、500バーツ支払った。ドライバーはとても幸せそうだった。

ホテルにチェックインする。タイは微笑みの国というけれど、フィリピンに住んでいるとそうは感じない。フィリピンの方が微笑みにあふれていると思う。部屋につき、すぐにラップトップを開き、Hangoutで打ち合わせを済ませる。フィリピンよりもネット環境がいいんだろう、今日はいつもより画質がいいですね、と言われた。フィリピンのネット環境は東南アジアでも最下位だ。遅いし、よく切れる。道路も悪ければ、ネットも悪い。インフラ面が悪いので対面だろうがビデオチャットだろうが、苦労ばかりさせられる。道路もネット回線もモノ自体が悪い上に、目一杯利用者を細い管へと詰め込む。そして悲しいけれど十分な選択肢はなく、我慢するか嫌ならこの国から出て行くしか道はない。

たぶん続かない。

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